

『足るを知るメソッド』の教科書
【方法編】
【第五章】無力感を味わう
続いてご紹介するのは、無力感を味わうという方法です。
10ページ目でご紹介した『自分への期待を捨てる』と仕組みは似ていますが、より簡単で、より広範囲に応用することができる方法です。
すべての悩みは"過信"が原因
・人間関係がうまくいかない
・物事が思い通りに進まない
・欲しい物が手に入らない
・病気が治らない etc…
悩みには様々なタイプがありますが、実はすべての悩みが、"過信"という1つの原因から生まれています。
"過信"というのは、
・人間関係は改善できるはず
・物事は思い通りにできるはず
・欲しい物は手に入るはず
・病気は必ず治るはず
というような、『希望』という名の固執です。
『希望』とか『信じる』とかって、一見、前向きに聞こえますよね。でも実際には、
「人間関係が改善したら幸せになれる!」
「物事が思い通りに進めば幸せになれる!」
「欲しい物が手に入れば幸せになれる!」
「病気が治れば幸せになれる!」
と、幸せになる方法を限定し、他の可能性を見えにくくする原因にもなり得るんです。
自分の幸せをたった1つの希望に託しているから、
「まだ叶わないのかな……」
「いつ叶うの?」
「どうすれば叶うの?」
と、そのことばかり考えて、不安になったり、焦ったりしてしまうんですよね。
これが、悩みはすべて"過信"から生まれると考える理由です。

"過信"は"無力感"で打ち消せる
「できる」と いう思い込みから"過信"が生まれるのなら、「できない」という思い込み(無力感)でその"過信"を消せるということ。

《無力感の例》
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人間関係はもう改善できない
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物事はもう思い通りにならない
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欲しい物はもう手に入らない
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病気はもう治らない
一見、ネガティブで暗いように見えますが、しかしこうしてきっぱり気持ちを切り替えることで、別の明るい希望を見つけることができるのです。
《無力感を味わった後の新たな希望》
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ここの人間関係にこだわらず、もっと交友関係を広げてみよう
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思い通りに進まない状況でも、今の自分にできる最善を尽くそう
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欲しい物が手に入らなくても、楽しくなれる方法を考えてみよう
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病気を抱えたままでも、今ある幸せを感じてみよう
無力感を味わう前は、他人や周囲の環境など、自分では変えられないものに焦点が当たっていました。他人軸です。他人軸だから、振り回されて悩みが発生していたんですね。
無力感を味わった後は、"今の自分にできること"に焦点が当たっています。自分軸です。自分軸だから、振り回されることがなくなり、悩みも発生しにくくなるんです。
物事が思い通りにならずにストレスを感じる時は、ただ他人軸になっているだけ。次にご紹介する"無力感を味わう方法"を試して、自分軸を取り戻しましょう。
無力感を味わう方法
無力感を味わう方法は、とても簡単です。
「わたしは何もできない……」
「わたしは無力だ……」
と、絶望の底に落ちるまで、自分自身に言い聞かせるだけ。
これって実は、10ページ目でご紹介した、『自分への期待を捨てる』と、ほぼ同じことを言っています。
「わたしは何もできない……」
「わたしは無力だ……」
と、自分自身に言い聞かせることで、『自分への期待を捨てる』んです。仕組みとしては『自分への期待を捨てる』と同じでも、こちらの方が、次のことを覚えるだけなので、ずっと簡単。
うまくいかないなと感じたら、
「わたしは何もできない……」
「わたしは無力だ……」
と、自分に言い聞かせる
これさえ覚えておけば、悩みやモヤモヤの原因がわからない時でも、『足るを知るメソッド』を取り入れて、簡単に気持ちを切り替えることができるんです。


無力感で自信を取り戻そう
無力感を味わうことは、諦めることではありません。「何があってもわたしは大丈夫なんだ」という、自信を取り戻すことです。
無力感を味わうと、「なんとかしなきゃ」という義務感や焦りが消え、「もういいや、どうにでもなれ」と、すべてを諦める境地になります。このすべてを諦める境地というのが、つまり、「すべてを受け入れる覚悟ができた」ということなんです。
すべてを受け入れるって、実はすごく怖いんですよね。予測不能な未来に裸で飛び込んでいくことだから。予測不能な未来にうまく対応できる気がしないから。「なんとかしなきゃ」という義務感や焦りも、すべてを受け入れることへの恐怖心から生まれています。
しかし、無力感を味わって「もう、どうにもできない……」と諦めがつくと、強制的にすべてを受け入れる覚悟ができてしまうんです。
そして、実際に予測不能な未来に飛び込んでみることで、「意外と平気だった。わたし、何があっても大丈夫かも!」と、自分自身の可能性に気づき、それが自信になるんです。
この成功体験を積み重ねていくことで、自信はさらに確固たるものになり、次第に、悩みにくい性格になっている自分に気づくはずです。